「フラット35の不正問題は、業界の人間には今さら感がありました。昔から少しローンに詳しい人間ならみんな、悪い業者がやっているだろうと思っていました」

(20件以上の区分マンションを所有する不動産投資家)

 

住宅購入に関するローンには大きく2つあります。

・自分が家に住む居住目的に融資されるのが住宅ローン

・収益を得る投資目的には不動産投資ローンが適用

 

両者の差は審査と金利にあります。

審査については、不動産投資ローンが個人の返済能力に加えて物件の収益性なども勘案されるため、住宅ローンよりも厳しい傾向にあります。

通常は不動産投資の方が金利は高く設定されています。

逆にいえば、金利の低い住宅ローンで投資用物件を購入すれば、その分だけ「儲け」も大きくなります。

 

審査時には居住用と証明するため住民票の提出などが求められますが、仮に所有者が少しだけ住み、転勤をきっかけに賃貸へ出したとしても、住宅ローンはそのまま継続されます。

 

そんな抜け穴を利用し、住宅ローンであるはずのフラット35が不動産投資に使われていた不正が次々明るみに出ました。

 

きっかけは、投資用シェアハウス販売において、スルガ銀行を舞台として預金通帳の残高偽装などの問題が発覚したことだ。その後、各メディアが不動産投資の現状を調査する中で、この不正がクローズアップされました。

 

 

■融資先の候補

(1)借り入れが少なくローンが通りやすい低所得者(いわゆる情報弱者)

(2)不動産投資に造詣のあるベテラン、セミプロ、複数所有者などの高所得者、

2パターンに分かれます。

 

「情報弱者」がターゲット

もともと物件を買えないような低所得層・若年層いわゆる「情報弱者」に対し、不動産販売業のトップ営業マンがセミナーやネットで勧誘して、「サブリース」だから安心だと説明し、物件を販売していました。

 

 不動産を複数保有すると借り入れ総額が金融機関の融資枠をオーバーするケースがあります。その場合、それ以上は不動産投資ローンが通りません。

だからフラット35しか借りられない状態になるわけだが、さらに物件を買い増したい投資家はたくさんいます。こうしたケースは一棟ものよりも区分マンションへの投資を好む投資家に多かったようです。

 またフラット35では、個人の返済能力を見る際に年収が重要になります。

しかし、投資用物件に関する借り入れについては、事業用資産として返済能力とは無関係と見なされます。そのため、その借り入れは勘案されません。そんな抜け穴を業者が狙う。融資審査で借り入れ総額を勘案しないフラット35の悪用は、購入意欲の強い投資家にはおあつらえ向きというわけです。

投資用シェアハウス問題では、不動産投資の経験者などリテラシーのある高所得者が多くだまされました。忙しくて現地を見られないといった事情から、業者のロジックだけを信じてしまった。もちろん投資は自己責任ですが、結果として預金通帳の偽造などは、自分のあずかり知らぬところで不正をされたという構造がありました。

■入居者と結託して転送不可郵便を転送

 フラット35問題の場合、エンドユーザーが不正だと認識して申し込みをしている可能性が高いようです。

 投資家と入居者が結託して不正に手を染めている可能性も潜むという。住民票を確認した上で融資が決まれば、フラット35に関する転送不可の郵便物が届きます。この郵便物をきちんと返信することで、居住確認の材料にするのです。

 

そこで投資家は入居者に「住宅金融支援機構からフラット35の書類がきたら、私宛ての封筒にいれて書類を送ってくれ。代わりに家賃を少し下げるから」とあらかじめ伝えておく‥その様な例もあります。こうすれば、金融機関にさえばれない限り、実際に住んでいるという判断が下されてしまうのです。

さらに悪質なのは、投資用不動産にもかかわらず、住宅ローンを適用すれば「住宅ローン控除」が受けられることです。

他にも投資家が友人を居住させ、家賃を現金で受け取るケースもあるとようです。

そうすれば、不動産収入分を確定申告しなくて済むから「まる儲け」になります。

 

税務署もそこまで捕捉できないからだ。不動産収入を得つつ節税になるという一挙両得だが、もちろんこれは完全に所得税や住民税などの脱税に当たります。

 そのあたりは不動産業者も十分承知している。具体的には、住民票、源泉徴収票、納税証明書、確定申告書の住所異動などに注意を払うよう促すなど、不正発覚に対して先手を打つそうだ。

 また、当初は本当に居住用で購入する前提で決済(引き渡し)をした後、投資家が居住せずそのまま賃貸に出してしまうケースもあるようで、こうした心変わりまで的確に見抜くのは至難の業のようです。

 

 調査後に同機構がどこで不正の線引きをするのか。それによっては不動産販売業者のみならず投資家の責任までも追及される事態になる可能性があります。

 

フラット35融資トラブル総合対策室が対応

 

ただ、この種の問題は、金融庁からの報告にあるようにスルガ銀行を代表とする金融機関(取次金融機関)とチャネラー(販社)との繋がりも注視しなければなりません。

 

対策室では、シェアハウス、一棟マンション・アパートの投資に関するトラブルの無料相談から得た経験を基に解決案をご提案します。

 

当センターでは、フラット35で融資を受け、現状金融機関から聴取を受けている、またこの事態を不安に思っているオーナーからの相談に対応します。

 

<支援対象>

フラット35で融資を受けたオーナー

<事案対象物件>

・戸建て・区分マンション

 

民間ADR・裁判所等を活用したトラブル解決の可能性

フラット35で購入した物件を不動産業者の斡旋で賃貸に出したが、ある日突然金融機関から一括返済を求められた。

 

まずは事情をお聞かせ下さい、事案内容によりますが、民間ADR・裁判所等よる調停による解決の可能性があります。