国土交通省から発表された「平成26年度住宅市場動向調査」によると、定期借家について「知っている」と回答した人が11.2%、「名前だけは知っている」は30.7%だした。「名前だけは知っている」人はそもそもの契約内容を把握していない状況であるため、9割の人は知らないと言えます。

定期借家契約とは

それでは、定期借家契約とはどのような契約でしょうか。

従来からある借家契約は、正当の事由がない限り家主からの更新拒絶はできないこととなっていますが、定期借家契約は、契約で定めた期間の満了により、更新されることなく確定的に借家契約が終了します。

定期借家契約は、契約で定めた期間が満了すれば、確定的に契約は終了しますが、賃貸人及び賃借人双方が合意すれば、改めて再契約をし、引き続きその借家への居住を続けることができます。

現在の、オーナーにとってメリット〔反面デメリット〕は、

  1. 契約期間中の家賃は一定であり増減額が出来ない
  2. 契約期間中は中途解約は出来ない。

公正証書などの書面で行なう

定期借家契約は、公正証書などの書面により行わなければなりません。したがって、定期借家契約を結ぶと言っても、口頭のみによる契約では、その契約は定期借家契約ではなく、従来の正当事由による解約制限のある借家契約となってしまいます。

定期借家契約では、最低限、期間満了時に契約の更新がないこととする旨を定めておくことが必要です。したがって、契約書にこの内容を記載していれば定期借家契約と認められますが、賃貸人及び賃借人双方にとって、よりよい契約書とするためには、国土交通省作成の「定期賃貸住宅標準契約書(改訂版)」に沿った契約書とすることをお勧めします。

定期借家契約でサブリース契約を締結

サブリース運営会社から中途解約されるリスクを抑えるには、契約書を契約期間中は中途解約できない旨の条文を盛り込んだ「定期借家契約」とする必要があります。

また、賃料の見直しが行えない旨を記載した条文も挿入される事をお勧め致します。

普通建物賃貸借契約であれば、賃料減額請求(強行規定)が可能

最高裁では「たとえサブリース契約であっても、それが普通建物賃貸借契約である限りは、借地借家法32条1項の賃料減額請求(強行規定)が可能だ」と判断しています。つまり、家賃保証金額が経済変動などによって不相当な水準になった場合、契約条件に拘わらず貸主と借主の双方に家賃保証金額の増減を請求できる権利を認めています

そこで、賃料減額も中途解約もできない条文の「定期借家契約」を作成し、契約の締結を行えば契約期間中の減額請求リスクについては低減する事が可能です。

本標準契約書が実際に利用される場合の的確な指針となるコメント(下記)をご参考下さい。

 

大谷昭二(日本住宅性能検査協会理事長)

 

【参考】

国土交通省作成「定期賃貸住宅標準契約書(改訂版)」

定期賃貸住宅標準契約書コメント

定期借家制度